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SS企画 ―第二章―

第二章 ―正義の味方登場!?― 【宝石護送班】
 険しい山岳の一角に作られた鉱山街。屈強な男たちが土や岩を台車に乗せて行き交い、宝石商であろう裕福そうな男たちが、精錬前の原石と睨めっこしている。奥に見える鉱山からは時折、掘削のための爆音が響き、騒がしいことこの上ない。
 そんな中で、土に汚れた作業着に身を包んだ初老の男性が、複雑な表情をしていた。
「じゃあ・・・嬢ちゃんたちがフィーリル湖の村から派遣された護衛・・・で、間違いないんだな?」
「はい」
「だから、何度もそー言ってるでしょ!」
 彼、鉱夫主任は、質問に淀みなく答えた機昌姫と、叫ぶように言い返す剣の花嫁を交互に見やる。どちらもせいぜい、10代前半にしか見えない少女だ。
「村の方から食料の換わりに宝飾品を送るという話は聞いてませんか?」
「いや・・・聞いてはいるが・・・」
 機昌姫の少女、未羅の言葉に彼は言葉を詰まらせる。
「本当に・・・嬢ちゃんたちで大丈夫なんだろうね?」
「あー、もう!私たちだってもがもが・・・」
「アリシアちゃん・・・めっ」
 今にも飛び掛らんとする剣の花嫁、アリシアの口を塞ぎ、未羅がその動きを制する。
 そんな二人の様子に、苦笑しつつも信じることにした。そうでなければ埒が明かないからだ。
「わかったわかった。信じるよ」
 主任の言葉に、二人は破顔し喜ぶ。
「で、で?その宝石はどこにあるの?パパーッと飛空挺で運んじゃうからさ!」
 言って、アリシアが指差したのはここまで乗ってきた小型飛空挺。
「む?・・・あれじゃ無理だよ。とてもじゃないか積めた量じゃない」
「そんなにたくさんあるんですか・・・?」
「あぁ、一抱えほどの大きさの箱が五つ。馬車じゃなきゃ運べないよ」
 主任の言葉に、二人は顔を見合わせ、代表してアリシアが質問した。
「えと・・・村の人たちって、どれ位の食料を送ってきたの?」
「うむ、馬車三台に目一杯積んできてな。わしらも、それに応えないわけにはいかんからな。選りすぐりの宝飾品を五箱、選んでやったよ」
「それでも・・・宝石が多くないですか?」
「普通の取引ならそうだろうな。だが、ここは見てのとおり、土地も痩せて動物もいない。食料は町の宝石並みに貴重なんだよ」
 大飯食らいも多いしな。と付け加えて、主任は豪気に笑う。そのとき、若い作業員が一台の馬車を引いてやってきた。それは大きな幌のついた、立派な荷馬車だった。
「よし、宝石はすでに、この馬車に積んである。後は頼んだぞ、嬢ちゃんたち」
 しかし返事はない。顔を見合わせる二人に主任は「どうした?」と問いかける。
「えっと・・・私たち・・・」
「馬車、乗ったことないんです・・・」
「なに、そのことなら心配するな!」
 二人の返事に、笑顔を崩さず主任は答える。
「優秀な御者が一人、協力を買って出てくれてな。そういつに任せておけばいい!・・・お、噂をすれば」
 主任の視線の先、行き交う人の間を悠々と歩いてくる一人の人間。それはおおよそ、この場にそぐわない姿だった。
 ところどころに金糸の刺繍が入った、立派な濃紫色のローブに身を包む姿は、宮廷魔術師や司祭を連想させる。フードを深々と被っているために、その顔立ちは窺い知れないが、僅かに覗く顎先は細く、肌は雪のように白くきめ細かい。
「じゃ、頼んだぜ」
 主任に軽く頷くと、無言で御者台に乗り込み、未羅たちを一瞥する。
「ま、ちょいと無口な奴だが・・・腕は確かだ。せいぜい頑張ってくれよ、嬢ちゃんたち」
「はい」「はーい!」
 彼の言葉に返事をすると、二人も荷台へと乗り込む。それを確認した御者は、手綱を振るい馬車を進めた。



 左右を高い崖に挟まれた渓谷の中を、未羅たちを乗せた馬車が行く。手綱を握る御者の腕は流石で、大きな岩などを避けつつ、それでいて最短のルートを選んで進んでいる。しかし、
「あの人、ほんっと無口だよね」
 アリシアがぼやくのも無理はない。ここまでに何度か話しかけたものの、全て無視。あるいは手の動きなどで応えるだけ。一切の声を発していない。
「あの人、男の人?それとも女の人かな?」
「んー、私は女の子だと思うな。だって、手とかすっごく色白で綺麗だもん」
「でも、背が高いから私は男の人だと思うけど・・・」
 未羅の疑問やアリシアの答えも意に介さず、御者は淡々と馬車を進める。異変が起こったのはそのときだった。
「わ!」「何!?」
 穏やかに進んでいた馬車が、突然速度を上げたのだ。
「ちょ、どうしたの急に!?」
「何かあったんですか?」
 アリシアと未羅の質問には答えず、御者はさらに速度を上げる。それでも、転倒したり衝突したりしないのは奇跡的だった。あるいは、神がかった手綱捌きか。
 やがて、左右を流れる崖が徐々に低くなり、だだっ広い荒野に飛び出す。と、同時に馬車は左に大きく旋回。
 御者は馬を宥めると、荷台で目を回す二人を抱え起こす。
「な・・・何?何なのいったい・・・」
 アリシアの疑問に応えるように、御者は一つの方向を指し示す。左後方、つまり、先ほど抜けてきた渓谷の崖の上。そこに見えるものは、
「砂塵・・・?」
 未羅の言葉どおり、いくつかの砂塵が巻き起こっていた。それらは徐々に近づいてきて、彼女らの前方。棚段状になった2メートルほどの崖の上で止まる。
 砂塵の正体は五台のスパイクバイクとその乗り手たち。アリシアと未羅は身構える。
「世界に悪がはこびるとき・・・」
 中央のバイクの乗り手が、言葉と共に一歩前に出る。
「嘆きが世界を包むとき・・・」
 続いて、中央向かって右の乗り手が、
「か弱き涙が流れるとき・・・」
 中央左の乗り手が、
「・・・他」
 わずかな言葉と共に、右端の乗り手が、
「正義の使者が現れるのよ!」
 最後に、左端の乗り手が一歩踏み出す。崖の上に現れたのは、特攻服に身を包んだ色とりどりのモヒカンたち。
「ニジレッド!」
 中央の、赤い特攻服を纏った赤いモヒカン男が名乗り、ポーズを決める。
「ニジブルー!」
 続いて、ニジレッドと名乗った男の向かって右側。青い特攻服とモヒカンの男がポージング。
「ニジグリーン!」
 レッドを挟んで反対側では、緑のモヒカン男が。
「ニジイエロー・・・」
 静かに名乗ったのは、右端の黄色いモヒカン。身の丈3メートルを越す巨漢だ。
「ニジパープル!」
 左端の紫色のモヒカン男が、なぜか女っぽい仕草でポーズを決める。
「我ら、5人揃って・・・」
「「「「「虹色戦隊!ニジレンジャー!!!」」」」」
 レッドの掛け声にあわせ、五人が揃って名乗りを上げると同時、その背後で5色の爆発が巻き起こる。その光景に、
「・・・」「・・・」
 二人は絶句していた。
「悪党どもめ!その馬車には盗んだ宝石が積んであるんだろう!」
 レッドが二人を指差して叫ぶ。
「いや、これから村まで護送するんだけど・・・」
「嘘をつくな!我らの正義レーダーがばっちり反応しているぞ!」
 アリシアの言葉をブルーが遮り、さらにグリーンがそれに続く。
「子供だからといって、騙されないぞ!・・・だ、騙されないんだからな!」
 なぜかいまいち不安げだ。
「ニジレンジャーなのに、なんで五人なの?」
「いや、今それツッコむとこじゃないから・・・」
 未羅の素直な疑問に、アリシアがツッコむ。が、レッドは律儀に答える。
「何を隠そう、俺たちには友達が少ないからだ!」
 なぜか堂々と、胸を張って。「ともかく!」と仕切りなおす。
「その盗んだ宝石をおとなしく置いていくなら、命は助けてやろう!」
「あたしたちに逆らうと、痛い目見るわよ?」
 パープルがレッドの言葉を継ぐ。それを聞いたアリシアは、深いため息。
「なんかもう・・・説明するだけ無駄な気がしてきた」
「戦うしかないの?」
 未羅の問いに、アリシアも頷く。
「しょうがないよ・・・御者さん、危ないから下がってて」
「・・・」
 御者は無言でその場を離れる。それを合図としたかのように、ニジレンジャーが崖から飛び降りる。
 戦いが始まった。



(相手の目を見て・・・いまなの!)
 グリーンの振り下ろした緑色の釘バット―ニジブレードと言うらしい。それぞれ自分の色の釘バットを持っている―を、半身を捻って回避、手にした姉とお揃いの仕込み箒で胴を薙ぐ。
(当たった・・・!)
 僅かに装束を切り裂いただけだったが、その剣は確実に相手を捕らえていた。
(アリシアちゃんの言ったとおりなの・・・)
 戦闘前に、アリシアは未羅にこう告げていた。『戦うときは、相手の目を見るんだって。そうすれば、相手がどう動くかわかるから。あとは、体が自然に動くのに任せればいい。って、焔の受け売りなんだけどね』と。実戦経験の乏しい彼女にとっては半信半疑だったが、確実に効果はあったようだ。
 安心したのもつかの間、右から振り下ろされた青いバットを、箒で受け止める。力押しされる前に重心を移動。攻撃を流す。
 僅かに出来た隙に、少し離れたところで三人と対峙するアリシアに視線を流す。
「このっ!」
 気合一閃。パープルの肩口にメイスを叩き込む。流れるように柄頭をレッドのどうに打ち込み、半身を捻る。と、その瞬間黄色いバットが、先ほどまでアリシアの体があった位置を貫く。
「・・・三人相手はやっぱりきっついなぁ」
 メイスを構えなおし、一人ぼやく。焔に手ほどきを受けているとはいえ、大の男3人を相手に一人で立ち回るのは、いささか無理があった。
 息つく暇もなく、レッドとパープルが左右に展開。同時攻撃を仕掛けてくる。
(速いのは・・・)
 二人の行動・攻撃速度を一瞬で判断。武器を振り上げがら空きになったパープルの胴体をメイスで突き、身体を反転。裏拳の要領で逆サイドのレッドを薙ぐ。その視界に入ったのは巨大な影。
「アリシアちゃん!後ろなの!」
 未羅の叫びに振り返ると、黄色いバットを振り上げたイエローが立っていた。
(間に合わない・・・!)
 思わず目を閉じる。一秒、二秒。三秒経っても、来るはずの痛みと衝撃はなかった。恐る恐る目を開けると、そこには濃紫色のローブを御者が立っている。ローブから伸びた白く華奢な右腕が、イエローの手首を掴み攻撃を止めていた。
「・・・ぬん!」
 イエローは一瞬驚くが、押し切ろうとさらに力を込める。が、まるで時間が止まったかのようにビクともしない。
 御者が軽く右手を捻ると、イエローの体が反転。脳天から地面に叩きつけられる。
「いまの・・・」
「き、貴様、いったい何者だ!」
 驚愕したアリシアの呟きと、レッドの叫び。それに応えるように、御者はローブに手を掛け、脱ぎ捨てる。
 後ろで束ねられた、腰まで届く美しい黒髪。膝までを覆う漆黒の外套と細い四肢。闇より深い黒の双眸を湛える顔立ちは美しく、ともすれば女性と見紛うその姿は・・・
「焔!?」「焔さん!?」
 学園で別れたはずのアリシアのパートナー。村雨焔だった。
「まずまずだが・・・詰めが甘いな、アリシア」
「え・・・ちょ・・・なんで・・・?」
「焔さん、別の任務に行ってたはずじゃないの?」
 驚きのあまり言葉の出ないアリシアに代わり、未羅が尋ねる。
「話は後だ。まずは・・・」
 焔の視線の先、突然の増援に一箇所に集まったニジレンジャー達は、焔を指差し叫ぶ。
「あ、あなた、いったい何者なのよ?」
「そ、そうだ!か、隠れてるなんて、卑怯じゃないか!」
「えーい!うろたえるな!一人増えたところで所詮三人。我ら五人の敵ではない!」
 レッドの叫びに、焔は喉の奥で笑う。
「ふふ・・・五人?四人の間違いだろう?」
 焔の言葉に、その場の全員の視線が一箇所に集まる。地面に突き刺さったまま、ピクリとも動かないイエローに。3メートルを越す巨漢が、たった一撃で気絶させられていた。
「そして・・・これで三人だ」
 その声は、ニジレンジャー達の輪の中から響き、同時に青いモヒカンが倒れる。
 驚愕に震える男たちの間を悠々と抜け、焔は未羅たちの元へと戻る。
「今の、どうやったの?」
「連中があのでかいのに集中してる間に、青い奴に手刀を落としただけさ」
 未羅の疑問に、さも当然と言わんばかりに答える。
「さて・・・アリシア、未羅。赤いのは俺が持つ。残りは任せるぞ。・・・やれるな?」
「もっちろん!」
「や、やってみるの!」
 焔の問いに、二人が応える。そして、
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