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SS企画 ―序章―

序章

 パラミタ大陸沿空部都市「ツァンダ」その一角に建てられた私立校「蒼空学園」。授業も終わり、静かになった高等部の一室に、
「や~だ~!」
 その声は響いた。
「やだやだ!焔と一緒に行くの!」
 燃えるような紅いポニーテールにした少女―アリシア・ノースが叫んでいる。赤を基調とした薄着から伸びる手足は細く、その小柄な体格も相俟って、本当に高等部の生徒かと疑いたくなる。
「あのなぁ・・・何度も説明したとおり、今度の仕事は一人のほうが早いんだ。それに、おまえには校長から依頼という名の命令が下ってるんだろ?」
 腰まで届く、闇より深い漆黒の髪と同色の双眸。闇色の外套を纏った青年、アリシアのパートナーの村雨 焔は、なおも食い下がるアリシアを必死になだめる。
「アリシアちゃん・・・わがままはメッなの」
 後ろで待っていた機晶姫の少女―朝野 未羅が、アリシアの襟首を掴む。
「すまんな・・・未羅。アリシアを頼む」
 焔の言葉に、未羅は静かに頷くと、そのままアリシアを引き摺り部屋を出る。
「ちょ!未羅、離して!はなせ~!」
「ダメ」
 そんな会話と、焔のため息を後に残して。



「湖のヌシか・・・面白そうではないか」
 薔薇の学舎の一室。吸血鬼リアン・エテルニーテは、校長ジェイダスから送られてきたメールを読み、そう呟いた。
「我の知識を披露し、この事件、見事解決してみせよう・・・」
 少し古ぼけた、ダークレッド模様の描かれた黒マントを翻し、彼は一路ジャタの森へと向かった。



 ツァンダの街中、ヴァルキリーである紅 射月(くれない・いつき)は、暇を持て余していた。
「彼がいないと退屈ですね・・・さて、どうしましょうか?」
 彼、とは射月のパートナーのことである。彼もまた、例の事件を追い出払っていたのだった。
「せっかくですから、新しい眼鏡でも探しにいきましょうか。それとも・・・」
 思案に暮れる射月の懐、携帯がメールの着信を告げる。差出人は校長、御神楽環菜。内容は簡潔に、
『暇を持て余してるあなたに仕事をあげるわ。他の生徒と合流してジャタの森へ行きなさい。内容は他のメンバーから聞くように。集合場所は・・・』
 読み終え、携帯のフリップを閉じる。幸い集合場所はそう遠くないため、射月は歩いて向かうことにした。
「楽しみですね・・・いったいどんな事件が待っているんでしょうか?」
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